京都大学 山本 裕 氏
制御理論と制御工学研究の現状に鑑み,若手の人にどのように研究を進展させて欲しいか, またどのように世界に出ていく(あるいは関わる)べきか,そのための方策は何か, どのような研究を推進すべきか,国際関係や人脈をどのように開いていくべきか などについてお話させていただきます.
金沢大学 金子 修 氏
可調整なパラメータをもつ制御器や,既に構造が決められている制御器が実装さ れている場合に,所望の性能を引き出す制御器パラメータを得るためには,対象 のモデル化に基づいたアプローチが最も合理的である.一方で,納期や運用の観 点からモデル化に時間やコストをかけれない場合や,安全性の観点からPE性の高 い信号を印加することが困難である場合には,データを直接用いることで制御器 の特性を向上させるパラメータの獲得も,一つの有用な手段である.そこで,そ のようなアプローチの強力な手法として,一組のデータのみで所望の特性をもつ 制御パラメータに改善することを可能にするFictitious Reference Iterative Tuninig(FRIT)について,その考え方と応用を基礎からわかりやすく説明を行う.
大阪大学 加嶋 健司 氏
近年,マルチエージェントシステムのフォーメーション制御との関連を背景に, 拡散結合された線形系の合意形成に関する様々な新しい結果が得られている. 本講演では,これらの結果と反応拡散系におけるパターン形成との密接な関連を 紹介したい.まず前半では両トピックの基礎理論・類似点・相違点を最小限で概 観する.後半では前者を後者に応用することで,数値シミュレーションだけでは 困難な,パターン形成のロバスト性解析が可能となることを示す.
大阪大学 潮 俊光 氏
近年のリアルタイム計算機システムの性能の飛躍的な発展は,さらなるシステムの高 機能化をもたらしている.一方で,すべてのタスクが最悪ケースになるという保守的 な設計では,リソースが十分に活用されていないことが多くなる.そこで,最近で は,システム制御理論を応用して,システムの状況に適応して,柔軟にタスクの実行 を管理するタスク管理機構の開発が注目されている.本招待講演では,システム制御 理論のタスク管理への応用事例をいくつか紹介する.
宇宙航空研究開発機構 宇宙科学研究所 大山 聖 氏
多目的設計最適化により得られた非劣解(パレート最適解)データベースから,各種データマイニング手法を用いて設計に役立つ知見を設計者に提供する多目的設計探査と呼ばれる手法が注目を集めている.本講演では,宇宙工学分野における多目的設計探査の活用事例として宇宙機軌道設計,ロケットエンジン設計,再使用観測ロケットの空力設計などの事例を紹介し,多目的設計探査の実設計問題における有効性と限界について議論する.また,現在の多目的設計探査のもつ限界を克服するための取り組みについても紹介する.
日本アイ・ビー・エム株式会社 IBM東京基礎研究所 井手 剛 氏
数理解析技術は、クラウド事業などと並ぶIBMの最重点投資領域のひとつである。本 講演の前半部分では、数理解析技術についてのIBMの最近のビジネス戦略を概観す る。また、機械学習という新しい学問分野と制御工学との関係についての最近の研 究的トレンドを概観する。後半部分では、IBM研究部門で行ってきた数理解析技術の 実応用についての最近の話題を紹介する。機械学習の最新技法を使って、伝統的な 統計的プロセス制御の限界を乗りえる試み、最近急速に実応用が進展している逐次 意思決定理論の産業応用、などについて概観する。
大阪大学 荒井 栄司 氏
生産ソフトウエアでは、例えば工場で使う制御、管理のソフトウエアのようにその開発には膨大な時間と費用が必要となってきています。 効率的なソフトウエア開発の方法論としては昔からソフトウエアの部品化による再利用と組合せ化が言われてきており、企業ごとにこのような試みがなされ ているのも事実であります。ISO/TC184/SC5/WG4では、この問題を国際規格の制定で進めようと考え、10年以上にわたり“生産ソフトウエアの ケイパビリティプロファイリング手法”の国 際規格を制定して来ました。その結果はISO16100として全6部の国際規格になっていますが、今後はこの実用化に向けた具体策の検討へと進めて行くことになっています。この規格の提案は日本が主導して行ってきたものでありますが、今回、この規格の概要と今後の進め方について紹介させて頂こうと思います。ソフトウエアの効率的開発、流通、再利用、修正設計と言った事を可能にするために、ソフトウエアにタグを付けるという概念を紹介させて頂くと共に、今後に対する幅広いご要望をお聞きする事が出来れば幸いです。
筑波大学 岡島 敬一 氏
東日本大震災・福島第一原子力発電所事故後、エネルギー情勢は一変した。 電力・エネルギー供給の脆弱性が大きくクローズアップされ、電力の安定供給が 最重要課題となった。一方で、京都議定書における6%の温室効果ガス削減約束 の達成は、震災前の状況においても困難な見通しであったが、原子力発電所がほ ぼ全て停止している今の状況での削減達成は事実上不可能といえる。電力の安定 供給は地球温暖化対策を無視して進めるべきではなく、地球温暖化問題も視野に 入れた今後のエネルギーあり方について議論する。
株式会社大林組 技術研究所 井上 文宏 氏
可変形状トラス(VGT)は伸縮材とヒンジから構成される単純なトラス機構から構成され,元々展開型宇宙構造物として開発が試みられてきた。これまでに運動学,動力学など様々な基礎研究は多くあるものの実際の適用例は少ない。本講演では著者らが研究開発してきたVGTを用いた可動型建築構造物の提案例,2005年愛知万博可動モニュメントへ適用例,併せて現在話題の可動構造物などを紹介し,今後のVGTの利用展開や方向性について検討したい。
広島大学 小林 亮 氏
真正粘菌変形体は巨大な多核単細胞生物で、シート構造の中に管のネットワークを展開 しながら移動する。この生物は単細胞生物であるにもかかわらず、最短経路探索問題を 解いたり、高度なネットワークを構築する能力を持つことが知られている。本講演では、 数理モデルを通して、このような彼らの行動からどのようなことが学べるか、また、彼 らを究極の自律分散系とみなした時、そこから何が学べるかについてお話ししたい。
東京大学 津村 幸治 氏
本講演では,量子系の制御対象と古典系の制御器からなる量子フィードバック系 を取り上げる.この場合,制御器側で観測値から対象の量子状態を推定する必要 があるが,講演の前半では,そのための量子フィルタの導出について説明する. その後,重要な応用例の一つである,多量子ビットスピン系の多入出力フィード バック制御について説明する.特に,所望の量子状態を量子ダイナミクスの平衡 状態とするような,測定系設計のためのアルゴリズムを紹介する.
大阪大学 松下 光次郎 氏
本特別企画はロボットによる導入教育を検討している教員を対象に,マイクロ コントローラMBEDを用いた実験(特に学生実験)環境の構築方法について,実 演を交えて講演します.ロボットを用いた実験は,電気・機械・制御・材料系 等の導入教育に適当な題材の一つであり,これらの分野でロボットによる実験 を検討する動きが見られます.しかしロボットを動かす環境を揃えるまでが一 つの大きなハードルとなっており,担当授業や学生指導等で多忙な教員が片手 間で準備することは大変困難です.本特別企画ではマイクロコントローラの一 つであるMBEDを紹介し,実演を通してMBEDの使い方を講義します.MBEDはウェ ブ上に開発環境が用意されているため,特殊なソフトの導入・設定が不要です. またインターネットができればどこでも開発ができるため,学生の自習にも適 しています.当日は時間の許す限り,MBEDによるモータの駆動,センサの取り 付け・読み込み,シミュレーションなどを紹介していきます.事前の準備は不 要です.また希望者は実習体験もできます.
京都大学 松野 文俊 氏
阪神淡路大震災を契機に様々な角度から安全・安全・防災・減災のためのシステムが提言され、その実現に向けて努力がなされてきたはずである。しかし、今回の東日本震災で、様々なシステム上の問題点が認知され、新たな課題を突きつけられている。その課題は、深層的には日本人のリスク管理の問題、つまりは生き方にまで及んでおり、研究者・技術者としての、モラルとモチベーションの持ちかたにも変容が求められている。沢山のかけがえのないひと・ものを失った、この悲惨な経験から何を学び、どのように世界の貴重な教訓として活かし、引き続き世界各国で発生している災害に、いかに備えていくべきか。今回のパネル討論では、パネラーの方々にそれぞれのお立場・ご経験から、話題提供をいただき、東日本大震災の経験を今後の備えにいかに活かすかについて、工学の立場で議論する。
オーガナイザ:大阪府立大学 本多 克宏 氏
オーガナイザ:近畿大学 吉田 久 氏, 近畿大学 中迫 昇 氏
オーガナイザ:近畿大学 中迫 昇 氏, 大阪大学 川村 新 氏
オーガナイザ:パナソニック電工 柴野 伸之 氏, 川崎重工業 江崎 秀明 氏
オーガナイザ:シャープ 豊島 哲朗 氏, オムロン 喜多 総一郎 氏
オーガナイザ:神戸大学 深尾 隆則 氏
オーガナイザ:高知工科大学 竹田 史章 氏
オーガナイザ:関西大学 前田 裕 氏, 広島工業大学 寺西 大 氏
オーガナイザ:大阪府立大学 小林 友明 氏
オーガナイザ:関西大学 尹 禮分 氏
オーガナイザ:神戸大学 小澤 誠一 氏